こんにちは、ひでともです!
公認会計士論文式試験の監査論って苦手な人結構多いですよね。いや、論文に限らず短答時代から苦手としている人も多いはず。
やっぱり監査論は丸々理論なので、実務経験がないとイメージが難しいではないでしょうか?
そんなイメージの中、僕が監査論の論文式対策で苦手なりにたどり着いた一つの答えがあります。
論文監査はある程度「典型的な」回答方法がある!
今回はその典型的な回答方法を含む、論文監査論の勉強方法について僕が実践した事を交えてお話したいと思います。
ちなみに合格時の監査論は科目合格するぐらいの高得点だったのですが、これにはある秘訣があるんです(笑)
もちろんかなりの努力は必要ですが、実践すれば誰でもそこそこ伸びると僕は感じています。
時間ないよ!という方は是非最後のフローだけでも読んでいってください!
1:論文式試験(論述全体)の勉強法
論文式試験の論述は結構重要で、これが出来ないと落ちます。
だから「計算で行ける」と理論を舐めずにしっかり対策をするのがとても大事です。
あなたのテキストを資産化することで、一度頑張ればそのあとはひたすらサラッと回し続けることで結構上位で成績を維持することが出来るようになります。
この勉強方法には2つのポイントがあります。
「①要約」と「②使い回し」です。
僕はこれらを実践することで、苦手だった監査論もグッと伸びました。
論文式試験の論述に関する具体的なテキストのみ作り方はこちらの記事で紹介しています。
公認会計士試験の勉強法!僕が実践した資産テキストを作る方法。
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余談ですが、会計士試験の合格者が行く実務補習所の考査は最初は監査論がメインです。
ある程度監査論をしっかりやっていると圧倒的に有利という側面があります(笑)
2:監査論(論文式)の勉強法
では論文式試験の監査論はどのように勉強したら良いのでしょうか?
勉強の基本方針
基礎(典型)論点はしっかりと覚える。
典型論点って良く出る問題なのでみんなが取れます。
そして、この典型論点をきっちり抑えることで応用問題に対応できるようになります。
例えば基礎論点の典型で言えばこんな問題。
(問題)リスク評価手続とリスク対応手続の関係を説明しなさい(解答欄10行)。
解答はこんな感じ、、、
(解答)
リスク評価手続とは、重要な虚偽表示リスクを識別し評価するための監査手続を言い、リスク対応手続とは識別し評価したアサーションレベルの重要な虚偽表示リスクに対応して立案し、実施する監査手続きをいう。
リスク評価手続の結果に基づきリスク対応手続を計画、実施するという関係にある。
すなわち、リスク評価手続きの結果、アサーションレベルの重要な虚偽表示リスクを高いと評価した場合、監査リスクを一定水準以下に抑えるために、発見リスクを低くしなければならないため、リスク対応手続きのうち、実証手続を厳格なものとして計画する。
逆に、固有リスクが高く、アサーションレベルの重要な虚偽表示リスクを低いと判断した場合、発見リスクは高くして良いが、内部統制に依拠することになるため、運用評価手続を厳格なものとして計画する。
長い!!!!!!!
書いてて嫌になります。
これでだいたい解答欄10行くらいですが、ここまでガッツつり書かせる問題は少ないでしょう。
でもこれだけ覚えることでリスク評価手続とリスク対応手続の関係性に関する理解は相当深まります。
僕の経験上、事例問題で変なのが来てよくわからなかったとしても、こういう基礎的な論点をベースに記述することで最低限の点数を拾うことができています。
基礎的な論点の覚え方
基礎的な論点はしっかり覚えると言いましたが、個人的には丸暗記はおすすめしません。
そこで冒頭でお話した「要約」の出番です。ようやく。
・・・・え?
例題の要約
もしかしたら天才的な記憶力の持ち主がいて、すべての論点を丸暗記して合格!なんてパターンもあるかもしれません。
ですが、そういう特殊な人は除外して話をさせてくださいね(笑)
基本的に全てを丸暗記するのは不可能ですし、仮にできたとしても普通は膨大な時間がかかる上に理解が深まらずあまり意味がありません。
では先ほどの例題のようなもののを僕が覚えた方法をお話します。
まずはざっくり定義を覚えます。
ちなみにすべてテキストの余白に書くことで、狭い隙間に必要な情報を抽出(要約)せざるを得ない状況が作り出せます。
さらに、学習をすべて1冊のテキストで完結させられるのでとても効率的だと僕は思っています。
テキストには下のような感じで記載しておきます。
定義:
リスク評価手続:RMM※1を識別・評価する
リスク評価手続:識別したRMMに対応し手続を立案・計画する
関係:
評価結果(リ評)計画実施(リ対)
RMM高 DR※2低(実証厳格)
RMM低 DR高(統制依拠→運用厳格)
※1 RMM:重要な虚偽表示リスク
※2 DR:発見リスク
あとはこれが出題されたら、これの通りのことを解答欄のサイズに合わせてテキトーに肉付けしつつ論述すれば良いのです。
特に関係のところを見てください。
ほぼすべての情報が網羅されています。
先ほどの長々とした回答が以下のように随分とスリムになりますね。
リスク評価手続=リスクを評価する
リスク対応手続=「リ・評」に対応する
RMM「高」:発見リスク低くする必要
⇒実証手続厳格化
RMM「低」:発見リスク高くてOK
⇒運用評価手続厳格化(内部統制依拠)
どうでしょう?
なんとなく行けそうな気がしてきましたよね。
多分これだけで先ほどの問題なら7〜8割はまず取れると思います。
とにかく必要な情報だけを抜き出してテキストの余白にさらっと書いてあげるんです。
これだけでテキストがどんどん資産としてあなたの成績を押し上げる役目を果たしてくれますよ!
便利な「監査人の対応」フロー
「〜監査人の対応を述べよ」という問題ってよく答練や過去問見ると出てません?
まあ実際のところ僕は予備校講師ではないので満点の回答は知りません。
でもこの「虚偽表示があった時の監査人の対応」系の問題って基本瞬殺なんですよね。
僕も当初はどう書いたら良いのかわからず、毎回違うことをたくさん書いては点数につながらず・・・といった状況でした。
逆に「どうしたらよいか知っているだけで楽勝」ということです。
この手の問題で書くべき手流れは「意見への影響の過程」とゴールである「批判的機能発揮(監査意見)」です。
論述の基本構成は以下の通り。
- 虚偽表示の集計
- 指導的機能の発揮
- 重要性判定
- 批判的機能の発揮(意見)
基本構成を抑えたらその中身に進みます。
たぶんこれだけ覚えておくとどんな問題にも対応できます。
1.虚偽表示の集計
・明らかに軽微なもの以外集計
2.指導的機能
・適切な階層の経営管理者に報告・修正依頼
A:修正された場合:これ以上対応不要(=無限定適正意見)
B:修正されない場合:3へ進む
3.重要性の判定
・修正しない理由を聞く
・重要性の基準値と比べる
A:重要性がない場合:無限定適正意見
B:重要性がある場合:4へ進む
4.批判的機能の発揮(意見)
・重要性と広範性の判断をする
A:重要かつ広範:不適正意見
B:重要なだけ:意見除外付した限定付適正意見
これをベースにしつつ、解答欄の行数を見て無限定について端折るとか、適宜対応していきます。
常に全部書けば良いわけではないので、ご注意下さい!
なお、普通は不適正意見のルートを進みます。
論文式の監査論とはそういうものなんです。
気軽に無限定のルートは歩めません(笑)
勉強していた当時、この手の「監査人の対応」は頻出問題なのに、きっちり論述出来る人が本当に少なかった印象です。
そして、このフローを覚えればどんなに手を替え品を替え出題されても誰でも相当なレベルで解答できます。
前提は違えどゴールが一緒だからです。
出題された事例の虚偽表示が「①重要性の基準値以下なら無限定」、「②重要性の基準値以上かつ広範なら不適正」、「③そうでなければ限定付適正」とただ書くだけの事です。
僕はこの方法を実践してからかなり楽して点は稼げました。
このフローを忘れない程度にたまーにさらっと眺めるだけの作業です(笑)
もちろん100%の保証はできないので、模試等で試してみてください。
最後に・・・
短答式試験では尋常じゃないくらい苦手だった監査論ですが、このように「要約」と「使い回し」で科目合格出来るレベルに達しました。
最初に「回すテキスト」をガッツリ作り込むのは確かに手間のかかる作業ですし、みんなやりたくありません。
でもそうやって最初にしっかり作り込む事であとは比較的楽に点数を維持できます。
その余った時間で苦手論点を詰めるもよし、たまには気分転換に遊ぶもよしです!
監査論は実務経験がないとイメージが難しくコスパが悪いと言われる科目ではあります。
とはいえ我々公認会計士の独占業務は「監査」なので少し頑張るだけでも違って来ると思います。
僕自身、監査論は得意だったものの、しばらく働いてようやく監査の流れや1年の様子的なものがわかるようになって来ました。
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