「ファイナンスリースとオペレーティングリースって何が違うんだろう?」
こんにちは、公認会計士のひでともです!
簿記や会計を勉強している人だけでなく、初めて経理担当になった時に抱く素朴な疑問です。
会計処理はたしかに違うけど、一体何が違うんだ!?
そんな事を僕も昔思っていました。
突然ですが質問です!!
ちゃんとファイナンスリースとオペレーティングリースの違い、分かってますか??
これを知っていないと大変な事に・・・はなりません(笑)
ただ、会計を勉強する上で大事なことは、ただ処理を覚えることではなくて「どうしてそうなのか」を理解しておくことです。
何が違うか、どうして違うかは知っておいて損はありませんし、勉強も実務上も役に立つ知識です!
今回は、わかる会計シリーズとしてあなたがこれから簿記2級や1級場合でも、さらに税理士・会計士を目指す人でも、初めて経理担当になった担当者でも、
「あーなるほどね!」
と思えるようにファイナンスリースとオペレーティングリースの違いについてお話します!
そもそもリースとは?
「リースってなんぞや。」
そんなあなたのために、まずはリースについてザックリお話します。
会計基準では、リース取引とは以下の様に定義されています。
「リース取引」とは、特定の物件の所有者たる貸手(レッサー)が、当該物件の借手(レッ シー)に対し、合意された期間(以下「リース期間」という。)にわたりこれを使用収益する権利を与え、借手は、合意された使用料(以下「リース料」という。)を貸手に支払う取引をいう。
企業会計基準第13号:リース取引に関する会計基準
はい、読む気無くしますね(笑)
正直読まなくて良いです。
簡単に言えば、500万円の車が欲しいけど、現ナマで買えないからレンタカー屋(リース業者)から借りて使う。
この賃貸契約をリース取引と呼びます。
それを難しく、がたがた言うとあんな感じになります。
・大家さんから部屋を借りる
・TSUTAYAでDVD借りる
リースのイメージはこれでOK!
要するにリースっていうのはレンタルです。
ファイナンスリース取引とオペレーティング取引とは?
会計上出てくるファイナンスリース取引とオペレーティング取引。
ただ、実際のところそういう取引が存在するわけではないんです。
同じリース会社からモノを借りるという取引を、会計処理をする上でファイナンスリースとオペレーティングリースのどっちで処理しますか?という処理の方法です。
なので、リース取引の内容によってどっちで会計処理するのー?
という処理方法の違いがファイナンスリース取引とオペレーティングリース取引です。
ファイナンスリース取引とは
ファイナンスリースとオペレーティングリースは会計上の処理方法の違いですと言いました。
それではファイナンスリースはどういう考え方なのでしょうか。
ファイナンスリースはどういう考え方か
※細かい設定の違和感は無視してください(笑)
リースの場合
以下の図をご覧ください。
Aさんがレンタカー屋(リース会社)さんに「350万円のクルマを3年間貸して!」と頼んだとします。
するとレンタカー屋さんはあなたにクルマを貸すため、お金を借りてディーラーからクルマを買って、Aさんに貸してくれます。
しかし、レンタカー屋さんはクルマを買うためにお金を借りているため、借りたお金に対して利息がかかってしまうので、Aさんへ利息など諸々含めてあなたに月10万円のレンタル料(リース料)を請求します。
そうするとAさんは毎月10万円のレンタル料(リース料)を支払います。
結果的に3年後に支払ったレンタル料は10万×12か月×3年=360万円です。
では買った場合とと比べたらどうでしょう?
購入した場合
Aさんは銀行から350万円を借りて、350万円のクルマを購入しました。そしてAさんはローンを利息込みで毎月10万円ずつ返済していきました。
整理すると以下のようになります。
・Aさんが350万円お金を借りる。
・Aさんが350万円でクルマを買う。
・借金を利息込みで毎月10万円ずつ3年間で返済する。
クルマを買うために支払ったお金は、350万円と利息分10万円の合計360万円です。
それではリース業者から借りた場合と、実際に自分で購入した場合を比較してみましょう。
自分で購入する際に支払った金額は360万円です。そして、リース業者に支払った金額も同様に360万円です。
いかがですか??自分でクルマを買った場合とほとんど同じに見えませんか?
実際に買った場合と、借りた場合、手段は違えど経済的な実態が同じなら同じ処理をした方が良い。
借りているけど買っているのと実態は同じだね、という場合には「買った場合と同じ処理をしましょう」というのがファイナンスリース取引です。
ちなみにファイナンスリースに該当するにはいくつか要件があり、中途解約不能・フルペイアウトという要件によって判定されます。
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基本的な会計処理
それでは基本的な会計処理について説明していきます。
手順は次の通りです。
2.期末に減価償却をする。
3.リース債務の返済と利息計上をする。
1.リース資産とリース債務を計上する。
まず、レンタルだけど実際にはお金を借りて買ったのと同じなので、リース資産を計上します。
そして「お金を借りている」ので借入金を計上しますが、これをリースではリース債務と表現します。
(借) 現 金 350 (貸) リース債務 350
(貸) リース資産 350 (貸) 現 金 350
2.期末に減価償却をする。
普通に買った資産はどうしますか?
期末に減価償却しますね!
とりあえず上の例にしたがって3年で償却しましょうか。
(借)減価償却費117/(貸)減価償却累計額117
3.リース債務の返済と利息を計上する。
お金を借りたら返済しますよね!
今回は350万円借りて、返す額を360万円としているので、年間返済額は350÷3年です。
利息は仮に10万円(=360-350)÷3年とします。
(借) リース債務 117 (貸) 現 金 120.4
(借) 支払利息 3.4
4.ファイナンスリースの仕訳まとめ
(借) リース資産 350 (貸) リース債務 350
(借) リース債務 117 (貸) 現 金 120.4
(借) 支払利息 3.4
(借) 減価償却費 117 (貸) 減価償却累計額117
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オペレーティングリース取引の考え方
今度はオペレーティングリースについてお話します。
これは何も難しくありません。
一言で言います。
オペレーティングリースは「レンタルです。」
ん?どういう事?とクエスチョンマークが頭に浮かびそうですね。
最初にリースってのはTSUTAYAでDVD借りたり、レンタカー借りたりするのと同じと言いましたね!
これと同じ考え方でレンタルの処理をそのまま表現するのが、オペレーティングリース取引です。
普通に借りて、賃借料を払うという会計処理をするだけです!
なぜファイナンスリースと会計処理が違うのか
先ほどのファイナンスリースだとAさんが自分で買っても、リースをして360万円の支払いでしたよね?
それはどちらも3年間使ったからです。
では1か月だけ借りた場合はどうしょう?
支払金額は月額レンタル料10万円のみです。
実際に買ったのと同じと言えますか??ちょっと厳しそうですよね。仮に1年間だとしても120万円ですので、買ったのと同じとは言い切れません。
なので「普通にレンタルした」と考えてレンタルの処理をします。
これを賃貸借処理と言います。
基本的な会計処理
レンタル料を1か月払ったと考えるだけなので、仕訳は以下の通りです。
(借)リース料 10 / (貸)現金 10
まとめ
ここまで説明してきた時効をまとめると以下のようになります。
・ファイナンスリースはローンを組んで買ったのと同じ
・オペレーティングリースはレンタカーと同じ
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