こんにちは、公認会計士ひでともです。
僕が会計士を目指した際に、解答を覚えるために行った「要約」を公開します。
公認会計士試験の勉強法!僕が実践した資産テキストを作る方法。
短答式試験に合格して、いよいよ最後の壁である論文式試験。 12月の短答式試験後から8月の試験までの短期間で論文式試験の論述のための知識を蓄えなければいけません。 しかし量が膨大なので挫折してしまいそう ...
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構成は、まずは問題文とこれに対する解答例を記載し、実際に僕が記憶する際にどのような要約方法をとったのかを記載していきます。
公認会計士試験合格を目指した際に、完全な暗記ではなく「点を稼げる暗記」という方針をとったため、解答例を少しアレンジしたりしていますが、会計士試験に合格するための理解や大枠としての理解としては十分だと思っています。
この方法で、僕は論文式試験の全国模試で財務理論の一部で20位以内をとり、また全科目の順位も同じ教室内で常に上位を維持していました。記憶に対する努力量に対してコスパの良く、それなりに効果のある学習方法だと思っています。
それでは、さっそく本題に入りたいと思います。
1.概フレ 財務諸表の構成要素 資産(問題と回答)
問題と回答
【問題1】資産の定義
資産の定義について説明しなさい
【問題2】自己創設のれんの資産計上の可否
当社は土地を駐車場で利用することを目的として、1,000千円で取得した。将来にわたって受け取る賃貸料収入の割引現在価値は1,500千円と見積もられた。この場合、土地を1,500千円で評価することは認められないが、その理由を財務報告の目的と財務諸表の役割の観点から説明しなさい。
【問題3】資産(事例)
✕1年4月1日に自動車をカップ契約により600戦円で取得した。なお、自動車の現金正価は540千円である。この場合には以下の3通りの会計処理が考えられる。
第1法 | 仕訳なし |
第2法 | (借)車両 540千円 (貸)車両 540千円 |
第3法 | (借)車両 600千円 (貸)車両 600千円 |
(1)第1法の会計処理の論拠と、理論的にはこの見解は妥当ではないという論拠を、資産の定義である経済的資源の「支配」の観点から述べなさい。
(2)第3法よりも第2法が合理的であると考えられるが、その論拠を試算の測定の観点から述べなさい
【解答例】
問題1:資産の定義
資産とは、過去の取引または事象の結果として、報告主体が支配している経済的資源をいう。ここで、支配とは、所有権の有無に関わらず、報告主体が経済的資源を利用し、そこから生み出される便益を教示できる状態をいい、経済的資源とは、キャッシュの獲得に貢献する便益の源泉を言う。
問題2:自己創設のれん
割引現在価値1,500千円と、取得価額1,000千円の差額は、経営者の恣意的判断に基づいて価値を評価し表現したものとして、自己創設のれんに該当する。よって、1,500千円で評価した場合には自己創設のれんが計上される。
財務報告の目的は、投資家による企業成果の予測と企業価値の評価に役立つような、企業の財務状況の開示にあり、経営者が負うべき責任は、基本的には過去の事実の開示である。自己創設のれんは、経営者による企業価値の自己評価・自己申告を意味するため、財務報告の目的に反することになる。
また、財務諸表の役割は、貸借対照表と損益計算書により投資のポジションと成果を開示することであるが、自己創設のれんの計上は、その分だけの期待利益の計上を伴う。当該期待利益は、リスクから解放された事実としての投資の成果にはあたらないため、成果の開示という財務諸表の役割に反することになる。よって当該価額で評価することは認められない。
【出典:「財務会計の概念フレームワーク」第3章 条文、本文3項】
問題3:事例問題
(1)資産の定義である経済的資源の「支配」の意義
この方法の論拠は、車両を割賦購入する場合、代金の返済が完了するまでは買い手に所有権が移転していないことにある。しかし、資産の定義である経済的資源の「支配」とは、資産の所有権の取得を意味するのではなく、報告主体が経済的資源を利用し、そこから生み出される便益を享受できる状態をいうため、車両を割賦契約により取得している場合でも経済的資源は支配しており、資産として認識しなければならないと考えられる。
(2)資産の測定
2つの方法の違いは、利息を取得原価に含めるか否かにある。一般に、固定資産の取得原価は支払対価により測定されるが、それは取得原価が取得時の市場平均の期待価値、つまり時価と一致しているからであり、取得時の時価と取得後に生ずる利息は無関係である。このように固定資産の取得原価を適切に測定できているのは、利息を含まない「第2法」であると考えられる。
2.概念フレ 財務諸表の構成要素 資産(要約)
要約
【要約】財務諸表の構成要素 資産
問題1:資産の定義
資産⇒報告主体が「支配」している「経済的資源」をいう。
支配⇒所有権は無関係、報告主体が経済的資源を利用し、便益を教示できればOK
経済的資⇒キャッシュの獲得の源泉
問題2:自己創設のれん
■財務報告の目的とF/Sの役割
財務報告の目的:経営者の責任のもと、過去の事実の開示
F/Sの役割:投資ポジションと成果の開示
↑
相反する
↓
■自己創設のれん
企業価値の自己評価・自己申告
リスク未解放である期待利益の計上
問題3:事例問題
(1)資産の定義である経済的資源の「支配」の意義
支配=所有権ではない
(2)資産の測定
取得時の時価と取得後生じる利息は無関係
(※)略語・用語の意味
要約で使用している略語や用語の意味です。
こちらは、一般的な略語・用語もありますが、僕が記憶する上で覚えやすいようにしているものも含まれます。
なし
3.要約のポイント
資産性の論点で概念フレームワークの資産の定義はよく使いました。こまったら「資産とは~」とはじめます。なので、資産の定義は正直要約というより丸暗記した方が良いかもしれません。
ただし、出題に対してどの程度の厚みで解答するかを判断するためのポイントとして、要約に記載の通り「①資産=報告主体が支配している経済的資源」⇒「②支配=所有権ではなく、便益享受」⇒「③経済的資源=キャッシュ獲得の源泉」という流れは絶対的に理解しておく必要があります。
また、自己創設のれんの論点も良く出ますが、やはり「リスク未解放である」という点は重要です。過去の事実を開示するという目的に対し、リスク未解放の自己創設のれんの計上はおかしいという関係です。
問題3はずいぶんあっさりと要約していますが、事例問題の解答の認識はせいぜいこの程度でOKです。まったく同じ問題が出るとは限りませんので、問題1・2で手に入れた知識をどう使うのか?という意味で「支配は所有権じゃない」ということと「取得時の時価と取得後の利息は無関係」という関係だけ覚えれば、似たような問題が出ても応用が利きます。
4.利用上の注意点
本要約は、僕が会計士試験合格を目指していた2013年~2015年頃の基準に基づいて作成しています。公開の主要な目的は、試験勉強時にどのような要約をすべきなのかという点の共有です。この辺りは予備校では細かく教えてもらえておらず、僕が独自に行ったノウハウなので、その点だけご留意いただいてご自身の勉強に活かしてください。
最新の会計基準に対する要約は、必要に応じて別途公開していく予定ですのでご承知おきください。