リースって結局よくわからないんだよね。
こんにちは、公認会計士のひでともです。
リースが分からない、そう思っているそこのあなた!
せっかく、リース会計を学ぼうと思っているのにもったいないですよ!
リースって基本的な仕組み自体はそれほど難しくないんです。
今回は、リースの種類と判断基準についてわかりやすくお話しますので、是非参考にしてみてください!
リースの種類3パターン
リース取引にはオペレーティングリース、所有権移転ファイナンスリースそして所有権移転外ファイナンスリースの3パターンがあります。
では、なぜこんな区分があるのでしょうか?
それは、区分によって資産計上が必要な場合とそうでない場合があるためです。
①オペレーティングリース
②所有権移転ファイナンスリース
③所有権移転外ファイナンスリース
する:ファイナンスリース取引
しない:オペレーティングリース取引
ファイナンスリースとオペレーティングリースとは!? 違いを徹底解説!!
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なぜリースで資産計上が必要なのか
そもそもどうして借りているものなのに資産計上が必要なのか、疑問に思いますよね。
法律上、賃貸借契約になっているのになぜ「資産」とするのか。
これは、会計として取引を表すときに「経済的な実態」が求められるからです。
賃貸借契約だけど、自分で買っているのと同じ状況であれば、自分で買った場合と同じ処理にした方が良いという事です。これを「比較可能性」とい言います。
難しい話はちょっと・・・という方も多いと思いますが少しだけ頑張って読んでください。
(例)AさんとBさんが車を購入、レンタルする場合
・Aさんは車を100万円で購入し、10年間使いました。
・Bさんは車を年間10万円で使用するリース契約を結び10年間使用しました。
※車は10年間使ったら廃車になるとします。
AさんBさんのどちらも支払総額は100万円です。
実際は車を10年使ったら廃車になるので、2人とも耐用年数分を自分たちで使い切っています。
ところが単純に買ったものと借りたものとして会計処理した場合はどうなるでしょう?
Aさん:BSに車100万円を資産計上
Bさん:PLに毎年レンタル料10万円を費用計上
確かにBさんは車をレンタルしていますが、一定の期間車に乗って自由に生活していますので、やっていることはAさんと同です。
やっていることが同じなのに別々の方法で会計処理すると実質的に同じ事が同じように見えなくなってしまいます。
このため会計では「やってることが同じなら同じように表現しろ」という比較可能性という概念が強く求められるんですね。
なので、ファイナンスリースによって似た取引には同じ処理をするんです!
ちなみに、リース会計には前述の通りオペレーティングリースとファイナンスリースという2つの概念があり、借りているとみなすのか、買っているとみなすのかで行う会計処理が異なります。
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ファイナンスリースの判定
では、ファイナンスリース取引とオペレーティングリース取引を区分するモノとは何でしょうか?
会計上資産にするからには、ちゃんとそれなりの理由がなければいけない。
会計って資産計上に色々うるさいんです(笑)
簡単に言えば資産とは「自分だけで使い切れてお金を運んできてくれるもの」です。
この定義を満たしていなければ資産とは言えません。
このため、ファイナンスリースとして資産計上するためには、賃貸契約でも自分で買ったのと同じ(=自分だけで使い切っている)と言えなきゃいけないんです。
会計基準上、ファイナンスリース取引の定義は以下の様になってます。
「ファイナンス・リース取引」とは、リース契約に基づくリース期間の中途において当該契約を解除することができないリース取引又はこれに準ずるリース取引で、借手が、当該契約に基づき使用する物件(以下「リース物件」という。)からもたらされる経済的利益を実質的に享受することができ、かつ、当該リース物件の使用に伴って生じるコストを実質的に負担することとなるリース取引をいう。
企業会計基準第 13 号
リース取引に関する会計基準
やっぱり生の基準はぱっと見読む気が起きませんね(笑)
ざくっとまとめると要件は2つです。
この要件について話をしていきます。
①中途解約不能
②フルペイアウト
中途解約不能
中途解約不能とは、読んで字のごとく途中で解約できないということです。
先ほどの10年使える車を例にしてみましょう。
1日ごとの契約は?
1日ごとにレンタル契約をしている場合は、翌日以降はずっと他の人も使うので買った場合の様に「自分のモノ」とは言えませんね。
5年契約なら?
ぐっと伸びて5年ならどうでしょう?
5年間使っても、それ以降解約すると残り5年間は他の人も使えてしまうので、1日と同じく「自分のモノ」とは言えませんよね。
10年契約ならどう??
10年契約ならどうでしょう?
10年で廃車になる車ですので、10年間解約不能であれば他人は使いません。
これであれば「自分のモノ」と言っても良いですよね!
最初から最後までずっと自分で使ったので、「自分だけで使い切っている」と言えます!!
なので、中途解約不能という要件を定めることで、実質的に自分のモノと同様に使える「資産」とみなせるんです。
フルペイアウト
いきなりカタカナでごめんなさい(笑)
中途解約不能要件に加えて大事なのがフルペイアウト要件です。
フルペイアウトとは簡単に言えば、リースで借りているのものを使って得た利益は全部自分のもの、購入代金や維持管理にかかる費用も全部自分で払うことです。
普通に車を購入して個人タクシーをやる場合を例に考えてみましょう。
タクシー代はもちろん全部あなたのものですし、ガソリン代やタイヤ交換費用等は全部部あなたの負担ですよね。
これと同じ状況をリースで借りたもので行っていればフルペイアウトであるといえます。
よって、フルペイアウト要件を満たすと買った場合と実質同じだから「資産」とみなせるんです。
フルペイアウトの判断基準
中途解約不能は、途中で解約できない契約であればOKという単純な話なので、特に判断の余地はありません。
契約書に「中途解約違約金1億円」とか書いてあれば中途解約は普通しません(笑)
ですが、コストを実質的に負担したとみなせる、というのは具体的にどの程度でそう言えるのかわかりません。
コストを実質的に負担したとみなす判断には2つの方法があります。
①現在価値基準(90%以上)
②経済的耐用年数基準(75%以上)
①現在価値基準
まずは現在価値基準です。
これは「リース料総額」と「もし自分で購入した場合の同じ物件の金額」がほぼ同じかどうかで判断する基準です。
「もし自分で購入したば場合の同じ物件の金額」を「見積現金購入価額」と言います。
「リース料総額」が「見積現金購入価額」の概ね90%以上であればフルペイアウトと言えます。
(例)あなたは車を年間10万円のリース料で10年間借りました。ある日ネットで検索してみると、その車の販売代金は110万円でした。
リース料総額:10万円×10年=100万円
見積現金購入価額:販売代金110万円
現在価値基準:100万円÷110万円×100=90.9%
90%以上のため、このリースはフルペイアウトと言えますね!
②経済的耐用年数基準
では経済的耐用年数基準とはなんでしょう。
実は既に説明済みなんです(笑)
さきほど、10年で廃車になる車を10年間使ったら「自分だけで使い切った」と言える。
というお話をしましたが、経済的耐用年数基準とは、まさにこれです。
「解約できないリース期間」が「リース物件の使用可能期間」の概ね75%以上であればフルペイアウトと言えます。
リースの使用可能期間:10年間
経済的耐用年数基準判定:10年÷10年×100=100%75%以上なのでフルペイアウトと言えますよね!!
ファイナンスリースの所有権
最後にファイナンスリースの頭についている「所有権移転」と「所有権移転外」の文字、これはどういう違いなのでしょうか?
所有権移転と所有権移転外の違い
これも中途解約不能と同じで、読んで字のごとくですよね(笑)
違いは所有権が移転するのか、しないのかだけです。
では、具体的にどのような状況で「所有権」が「移転」するリースとみなされるのでしょうか??
ケース①所有権移転条項が付された契約
契約期間終了時にリース対象物件の所有権が借り手に移転する、つまり「リース期間が終わったらあげますよ」という条件つきなら所有権移転ファイナンスリースと言えます。
ケース②割安購入選択権が付されている
リース期間終了時に割安でリース対象物件を購入する権利がある場合にも、通常所有権移転ファイナンスリースと判断されます。
ケース③特別仕様のリース
リース対象物件が他の人が使えないような、借り手のための特別仕様のものだった場合などには、これも実質的に他者が使えません。
リース期間終了後に返却してもリース会社は新たに貸し出せないので、所有権移転ファイナンスリースと判断されます。
まとめ
リースの種類は3つ
①オペレーティングリース
②所有権移転ファイナンスリース
③所有権移転外ファイナンスリース
ファイナンスリースの2要件
①中途解約不能
②フルペイアウト
所有権移転の判断基準
①所有権移転条項付きの契約
②割安購入選択権付きの契約
③特別仕様のリース
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