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【考察】令和2年度修了考査の合格発表と今後の対策

 

こんにちは、公認会計士ひでともです。

令和2年度の会計士試験修了考査の合格発表がありました。

まずは合格したみなさん、本当におめでとうございます。

今回は、公認会計士の日常をテーマにした本ブログにて、令和2年度の修了考査の結果を踏まえた考察をしていきます。

ひでとも
合格率、やはり低かった・・・

 

 

令和2年度修了考査の結果

 

合格率は対受験者数49.5%であることから、昨年に引き続き50%を切ってきています。

この流れは2018年度の対受験者数56.1%から始まり、2019年には対受験者数では48.8%となっていました。

ひでとも
ひと昔前の70%程度の合格率の頃から比べると、受かって当然の試験ではなくなってきてしまったようです。。。

 

受験願書提出者数 2,126名
受験者数 1,936名
合格者数 959名
対受験願書提出者数合格率 45.1%
対受験者数合格率 49.5%

※日本公認会計士協会:「令和2年度(2020年度)修了考査の合格発表について」より

 

修了考査に求められるもの

出題趣旨を要約すると大きく以下の能力が求められるようです。

修了考査で求められるもの

・実務補修の内容全体の理解があるか
・実務的な専門能力と適格性があるか

また、計算問題についても理論で理解していることを計算させることを主眼においています。

さらに、論述問題は理解について自ら論理的に示せるか否かが問われているようです。

最近の合格率について、これらの能力は別に過去から何か大きく変わっているようにも思えません。

ひでとも
個人的には基礎的論点の取りこぼしをしている人を振り落とすような傾向が出てきたのではないかと考えています。

背景として、昨今の不正事例の多発や公認会計士に対する社会的な期待水準の向上から、あまりに基礎的な知識がない者を会計士として登録させるわけにはいかないのではないっといったところがあるのではないでしょうか。また、税理士との縄張り争いもあり、補修所の考査が税務は別で単位を取得する必要があるようになったことも背景にありそうな気がします。

 

修了考査の問題に対する考察

問題を見ていると、主に以下のようなポイントが問われています。

会計に関する理論及び実務

・基礎的な論点の実務上の取り扱い

これは会計士試験で実施済みの論点であり、取りこぼしたくない計算問題が多い印象です。

会計の専門家である以上、網羅的な知識が求められるのは当然と言えば当然です。

出題意図も、特に難しい話を求めているというよりは、基本的なことは知っておけという感覚です。

・IFRSの基礎的な知識の有無

IFRSに対する基本的な知識は毎年問われる傾向にあり、各法人の研修でやるレベルの理解と日本基準との差異についての理解が求められる印象です。

ひでとも
FRS任意適用企業が東証時価総額の4割を超えている現状では、「知らない」は許されない感があります。

監査に関する理論及び実務

・監査および専門用語の基本的な理解

論文の知識が問われている印象で、会計士試験において学んだ監査論の知識をしっかり抑えている必要があります。

「専門用語の理解」についても出題趣旨に記載があるので、会計監査の専門家なんだから監査はキッチリ抑える必要があるという事だと思います。

・監査実務上の留意点

これは実際の監査において直面した場合、どのように対応するかを考えて記述することになります。

こちらは専門用語を抑えて実務上どうするであり、正解はひとつではないので、どう対応すべきか、専門用語をちゃんと使いながら考えられてるか?が求められている印象です。

税に関する理論及び実務

・法人税、所得税、消費税の基本的な理解

修了考査からの論点もあるものの、やはりメインは論文租税の論点が解けるか否かが重要である印象です。

おそらく「新規論点はみんな落とすから、論文論点を拾って、+αを積み上げなさいという感じだと思います。

・相続税等の理解

新規の論点ではありますが、基礎的な論点は会計士として求められるようです。

「監査法人や大手企業にいるとほぼ不要な知識だろ!」と思いますが、税理士登録も出来る以上ちゃんとやろうね(じゃないと税理士と揉めるだろ)という事でしょう(笑)

・最新の税制に関する事項の理解

ふるさと納税が出ましたが、ある程度最新の税制動向についての理解は会計士として求められているようです。

あまり合否に直結はしないと思いますが、友達に聞かれても恥ずかしくないように知っておいて損はないですね()

経営に関する理論及び実務

・財務分析などの基本的な論点

論文論点がメインなので、解けないことはない基礎的な問題が多い印象です。

また、財務分析などは回答に加えて問題文の前提に沿った理由を聞かれます。

ひでとも
数字だけじゃなく、その裏にどんなストーリーがあるかを考えなさい、勉強番長じゃだめだよ!という意図でしょう。

・コーポレートガバナンス

コーポレートガバナンス絡みで機関なども問われるなど、やはり監査人として必要な知識の理解が求められている印象です。

・ITに関する理解

IT関連の問題は穴埋め形式が多いので、普通に最近の技術について興味を持ちましょうねということだと思います。

とはいえITと言いつつ実際は監査論に近いです。

基本はIT全般統制やIT業務処理統制周りがメインのイメージです。

論文試験ではあまり触れていないため、理解が難しいところではありますが、監査上必須のため出題されている印象です。

今期はIT委員会研究報告第52号周りから出たようです。

ひでとも
IT周りを知らない会計士はマジでやばいよね?AIに代替される側だよね?興味持とうね?という意図でしょう。

職業倫理

会計士に求められる職業倫理が出題され、今年はインサイダーでした。

その他の論点と違って1番「お勉強」という印象で、条文穴埋めなどが出題されています。

職業倫理なんか落とすもんじゃないんだから、ちゃんと勉強しなさいという強い意思を感じます。

 

修了考査の対策

仕事が忙しいと多くの方が2週間〜1ヶ月前くらい前から本格的な学習をスタートさせていると思います。

今の合格率では直前追い込みの学習では、厳しいです。

合格率が50%を切る状況下で必要な対策は、やはり早めに学習をスタートさせることです。

事前にスタートすべき論点

特に事前にスタートすることで合格可能性が高まる論点についてお話します。

それは租税法、会計学の公認会計士試験の論点です。

直前期は租税や経営実務にも新たな論点が入ってくるので、それの理解や答練に時間を費やしたいところです。

したがって、租税法や会計学の会計士試験時に学習した計算論点の復習は事前にスタートすべきです。

個人的には夏頃から電卓を叩きながら思い出しておくくらいの感覚で臨むのがベストだと考えています。

 

直前期に対策すべき論点

直前の休暇中に抑えるべき論点は、上記のものを除く新論点、ITへの対応部分そして職業倫理です。

計算で新たに生まれる論点は連結納税や組織再編税制周りや相続税といった租税法の論点です。

とは言え、基礎論点を抑えるのは難しくないのである程度事前に見ておくくらいで、あとは直前期で良いと思います。

ITへの対応部分と職業倫理は新規の理論論点です。

基本は暗記と理解の繰り返しですので、事前にがっつり手を出しておく必要性は低いと考えています。

監査論周りの論点の考え方

これまでは、監査に関する理論と実務は正直勉強をしなくてもそこそこ取れてきました。

ひでとも
実際今でも多くの人がそうだと思います。

しかし、昨今の低い合格率と出題趣旨にある「専門用語」というコメントから考えると、用語を正確に使用していない解答ははじかれている可能性もあります。

このため、「専門用語」を含めて正確に論述する訓練の必要性が以前より高まったと考えられます。

あまり勉強していなかった人も、さらっとテキストの見直しはした方が良いでしょう。

 

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